葬儀までの流れ

• 1.仏前の荘厳（しょうごん）

  お仏壇にお線香やお花をあげたり、お菓子や果物をお供えしたりすることを仏前荘厳（ぶつぜんしょうごん）といいます。家族が亡くなられた時の荘厳は、仏華と打敷（三角形の飾り布）に特徴があるといえます。
  仏華は、派手な色を避け、白色の花を中心にします。打敷は、銀色又は白色を掛けますが、無い場合は、色打敷の裏地（白）を表にして掛けます。
  浄土真宗では、団子や一膳飯をお供えすることはありませんし、枕飾りも必要ありません。
  

• 2.臨終勤行（りんじゅう ごんぎょう）

  本来は、臨終を前になされた方が、阿弥陀さまに対して、これまでのお育てにお礼（感謝）を申し上げるお参りのことをいいます。しかし、多くの場合、ご本人が自宅のお仏壇で行うことが難しいため、臨終後、ご本人に代わって、僧侶や遺族がお勤めしています。仏前に集う方々は、故人の阿弥陀さまに対する気持ちを受け止めながら、お互いに報恩感謝（阿弥陀さまのご恩にたいする感謝）の心持ちでお参りいたしましょう。
  ※臨終勤行の際に、ご遺体に向かって読経することはありません。必ず、ご本尊である阿弥陀さまに向かってお参りいたしましょう。家庭にお仏壇がない場合、ご遺体が安置されている部屋に阿弥陀さま（南無阿弥陀仏）のお掛軸を掛けるなどしてお勤めします。
  ※浄土真宗では「枕経（まくらぎょう）」という言い方はいたしません。
  

• 3. 通夜（つや）

  お亡くなりになられてから葬儀の前までの夜を通夜といいます。文字通り、夜を通して故人と寄り添いながら、諸行無常、諸法無我の道理を聴聞させていただくご縁とします。
  最近では、葬儀の前夜に有縁の人々が会し、定刻に読経（通夜勤行）することが一般的になりましたが、本来は、夜通し人々が弔問に訪れ、お念仏の声が途絶えなかったと言われています。
  深い悲しみの中にも、これまでの感謝の気持ちを忘れることなく、限られた時間を大切に過ごしましょう。
  

• 4. 葬儀（そうぎ）

  葬儀は、一般的に「死者を弔う儀式」と思われており、「追善供養を目的に営む」と考える人が多いようです。しかし、浄土真宗では、お浄土に往生なされた方がお勤めくださる厳粛な儀式、または、亡きお方がお浄土へと往生なされたことを受け止めていく重要な儀式、と受け止めたいものです。
  深い悲しみの中にある参列（会葬）者に対して、如来さまとなられたお方から、尊いみ教えが届けられる、そのような有難いご縁なのです。
  お参りをなされる方々は、亡きお方の生前のご恩に感謝しつつも、「今後は如来さまとしてご教導ください」という思いを込めて、心静かにお念仏申しましょう。
  ※お亡くなりになられたお方は、天国に行ったのでも、幽霊になったのでもありません。往生の素懐（そかい）を遂げられて、如来さま（利他教化地の菩薩、還相摂化の菩薩）となられました。
  ※葬儀時の読経は、追善供養を目的としたものではありません。会葬者に向けられた尊いみ教えです。
  

• 5. 火屋勤行（ひやごんぎょう）

  葬儀後に火葬場へ向かい、火葬の直前に勤めるのが火屋勤行です。これまで人生をともに歩んできたお方が、荼毘（たび）に付されるにあたり、その悲しみのなかに届けられるお経（み教え）となります。悲しいとき、辛いときにこそ、まことの教えが支えてくださいます。

• 6. 環骨勤行（かんこつ ごんぎょう）

  自宅へもどり、ご遺骨を前にされた遺族にたいして、如来さま（故人）から尊いお経（み教え）が届けられます。それが、この還骨勤行です。
  遺骨となって還ってきたわけではなく、如来さまとなられて還って来られた、それを知らせていただく勤行であると味わいたいものです。
  ※ご遺骨は仏壇の横の「中陰壇（ちゅういんだん）」に安置するのが一般的ですが、浄土真宗の還骨勤行は、中陰壇ではなく、お仏壇の前で行うのが基本です。
  ※還骨後、繰り上げの中陰勤行（初七日のお参り）を希望される方が多くなっておりますが、その場合は、葬儀の前までにご連絡ください。
  

• 7. 中陰（ちゅういん）

  中陰とは、古代インドで生まれた輪廻思想の中で使われる言葉で、臨終後、次の命を得るまでの 49 日間を指しました。この期間、迷いの中にある故人に対して七日毎に審判がくだるとされ、遺族は故人の冥福を祈って追善の供養をしなければならない、とされていました。
  しかし、お釈迦様は、この考え方を否定されました。そして、否定されつつも、仏教的な解釈で「中陰」の意義を伝えてくださいました。
  それは、家族を亡くして「悲しみ」の中にある遺族に向けて、如来さまから、七日毎にお経（み教え）が届けられる、というものでした。遺族は、この間、如来さまとなられたお方の願いを受けとめながら、心静かにみ教えを聴聞させていただきます。 ※浄土真宗のでは、満中陰（49 日）までを「忌中」と考えます。
  ※浄土真宗のでは、満中陰（49日）までを「忌中」と考えます。
  

お葬式のQ&A

• Qお悔やみの言葉は？

  浄土真宗では、「ご冥福をお祈りいたします」というお悔やみの言葉を用いません。その理由は、冥土（死後に行く暗闇の世界）の幸福を祈る必要がないからです。お悔やみの言葉としては、「謹んで哀悼の意を表します」や「ご逝去を悼み、慎んでお悔やみ申し上げます」などがふさわしい表現です。

• Q浄土真宗には戒名がないのですか？　法名（ほうみょう）とは何ですか？

  戒名（かいみょう）は、仏教の戒律を守る出家の僧侶に与えられる名です。一方、浄土真宗で用いられる法名とは、お釈迦様のお弟子として阿弥陀さまの救いの法を聴聞なさる方に与えられる名です。 浄土真宗の門徒は、「戒名」ではなく「法名」が与えられます。本来は、生前に帰敬式を受けて、ご門主様から授かるべきものなのですが、生前に帰敬式を受けるご縁のなかった方は、ご門主様にかわって手次寺の住職が帰敬式を勤め、法名を授与します。

• Q「お斎（おとき）」とは何ですか？

  お斎とは、仏事の際にふるまわれる食事、または会食のことを指しますが、単なる食事会ではありません。食事を通して仏さまの教えに遇う、そのようなご縁が本来の「お斎」です。

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